農地転用で宅地にして家を建てるには?条件・費用・期間・流れを解説

農地転用で宅地にして家を建てるには?条件・費用・期間・流れを解説

「親が所有する畑にマイホームを建てたい」「安い農地を買って広い家を建てたい」とお考えではないでしょうか。

しかし、農地を宅地に変更する「農地転用」には、法律に基づいた一定の手続きが必要です。

土地の条件によっては許可がおりず、そもそも住宅を建築できないケースも珍しくありません。

本記事では、農地転用で宅地にする条件、完了までの期間や造成費用の目安をわかりやすく解説していきます。

Contents

農地転用で宅地にするには許可や届出が必要

届出・申請

所有している農地であっても、個人の判断で自由に住宅用地へ変えられるわけではありません

ここでは、農地転用の基本と、手続きの種類について解説します。

農地転用とは農地を住宅用地などに変えること

農地転用とは、田や畑などの農地を、住宅用地や駐車場、資材置き場など、農地以外の用途に変えることです。

日本の食料供給を支える農地は法律で守られているため、所有者であっても勝手に別の目的に使うことはできません

住宅を建てる目的で使う場合も、事前に必要な手続きを確認する必要があります。

自分の農地でも自由に家を建てられない

親から引き継いだ農地や、相続によって取得した田畑であっても、そのまま家を建てられるとは限りません。

農地を住宅用地として使う場合は、農地法に基づく手続きが必要です。

具体的にどのような手続きが必要かは、次章以降で順を追って解説します。

なお、親名義の農地に子どもの家を建てる場合は、使用貸借や贈与などの権利関係によって必要な手続きが変わります。

自分のケースでどの手続きが必要になるかは、建築予定地を管轄する農業委員会に確認しましょう。

親の土地を活用する際の注意点は、こちらの記事でも詳しく解説しています。

▶️関連コラム:親の土地に家を建てるデメリット|税金・相続・住宅ローンと土地条件の注意点

農地法第4条・第5条の違い

農地転用の申請には大きく2種類の区分があり、どちらに当たるかは農地の所有者と転用後の使用者が同一かどうかによって変わります。

種類 主なケース
農地法第4条 自分の農地を自分で転用する
農地法第5条 売買・賃貸などを伴って転用する

たとえば、自分が所有している畑に自宅を建てる場合は第4条の対象となります。

一方、農地を購入してから家を建てるケースや、他人の農地を借りて活用する場合は第5条が適用される仕組みです。

なお、親名義の農地に子どもの家を建てる場合は、権利の移動が伴うため原則として「第5条」が適用されます。

土地の使い方や契約内容によって扱いが変わるため、詳しくは農業委員会に確認することをおすすめします。

〈参考〉農林水産省『農業振興地域制度及び農地転用許可制度』

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農地転用で宅地にできる条件

農地転用予定の土地

農地を宅地へ変えられるかどうかは、土地の場所や農地の区分によって変わります。

ここでは、転用の可否を判断する主な条件について詳しく解説します。

市街化区域の農地は届出で済む場合がある

農地が「市街化区域」内にある場合、農業委員会への届出により転用できるケースがあります。

市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域や、今後おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域のことです。

ほかの区域と比べると比較的転用しやすく、手続きの負担も小さくなります。

ただし、届出を行わないまま転用を進めることは認められないため、事前に農業委員会へ届出を行いましょう。

市街化調整区域や青地農地は転用が難しい

一方、転用の難易度が上がるエリアもあります。

代表的なのは以下の2つです。

  • ・市街化調整区域:市街化を抑制するために指定されたエリア。農地転用には都道府県知事等の許可が必要となり、土地の条件や転用目的によって可否が判断される
  • ・農用地区域内農地(青地農地):農業振興地域の農用地区域内にある農地。原則として転用が制限されやすく、宅地にするには農振除外と呼ばれる別の手続きが必要になる場合がある

〈参考〉農林水産省『農業振興地域制度及び農地転用許可制度』

立地基準と一般基準を満たす必要がある

市街化区域以外の農地を転用する際は、主に2つの基準に基づいて審査が進む仕組みです。

基準 確認される内容
立地基準 その農地が転用できる場所にあるか
一般基準 計画に実現性があるか、周辺農地に影響がないか

農地転用の許可を受けるには、立地基準と一般基準の両方を満たす必要があります

市街化区域の農地転用は届出で済む場合があるため、まずは建築予定地がどの区域にあるか確認しましょう。

〈参考〉栃木県『農地等の転用の許可制度』

農地転用許可がおりないケースもある

農地区分や計画の内容によっては、許可がおりないケースもあります。

代表的な例は以下のとおりです。

  • ・特に優良な農地として指定された甲種農地にある
  • ・転用によって周辺農地の日照や水路の利用に悪影響を及ぼすおそれがある
  • ・資金計画が不十分で、住宅建築の実現性が低いと判断される

〈参考〉栃木県『農地等の転用の許可制度』

農地転用から宅地にするまでの流れと期間

造成工事

農地を宅地にするには、相談・申請・造成・登記の順に手続きを進めます。

ここでは、基本的な流れと期間の目安を見ていきましょう。

STEP1|農業委員会や自治体に事前相談する

まずは、建築予定地を管轄する農業委員会や自治体に相談し、農地転用できる土地かを確認します。

家を建てる予定がある場合は、接道や建築の可否もあわせて確認しておくと安心です。

STEP2|申請書類を作成・提出する

転用の見込みがある場合は、農地転用の申請書類を作成して提出します。

必要書類は自治体や転用目的によって異なり、受付締切が決まっているケースもあります。

書類の不備があると手続きが遅れるため、早い段階で相談しておきましょう。

STEP3|許可後に造成・インフラ整備を行う

農地転用の許可がおりたら、住宅用地として使えるように土地を整えます

土地の状態によって必要な工事は異なり、造成・排水・インフラ整備など複数の作業が発生することも少なくありません。

各工事の具体的な費用目安については、後ほど詳しくまとめています。

STEP4|地目変更登記で宅地へ変更する

農地転用の許可を受けただけでは、登記上の地目が自動的に宅地へ変わるわけではありません

造成後、現況が宅地として整った段階で、地目変更登記を行います

地目変更登記は自分で申請することもできますが、専門的な判断が必要な場合は土地家屋調査士に相談すると安心です。

登記上の地目と現況が異なるままだと、将来の売却や相続の際に確認が必要になることがあります。

〈参考〉法務局『不動産登記の申請書様式について』

期間は1〜3か月またはそれ以上かかる場合もある

農地転用の申請から許可までは、農地の場所や申請内容によって1〜3か月を目安に考えておきましょう。

ただし、これはあくまで農地転用の許可を受けるまでの目安です。

許可後に行う造成工事やインフラ整備、地目変更登記には別途期間がかかります。

農振除外が必要な場合や書類の不備がある場合はさらに長引くこともあるため、家づくりの計画は余裕を持って進めましょう。

農地転用と宅地造成にかかる費用

インフラ整備

農地を宅地にする際は、申請費用だけでなく、造成やインフラ整備の費用もかかる場合があります。

ここでは、主な費用項目を確認していきましょう。

農地転用の申請・手続き費用

農地転用の許可を得る手続きには、主に行政書士への報酬や役所で取得する書類の発行手数料がかかります。

自分自身で申請すれば実費のみで済みますが、専門的な図面等の作成が求められるため、行政書士などに任せるケースが多く見られます。

依頼する事務所や手続きの難易度によって金額は変動しますが、おおよそ数万円〜十数万円程度を見込んでおきましょう。

宅地造成やインフラ整備にも費用がかかる

農地転用の許可後には、実際に住宅を建てられる状態にするための工事費用も発生します。

主な費用項目は以下のとおりです。

費用項目 内容 費用の目安
造成工事 盛土・整地・高低差の調整 数十万~数百万円
排水工事 雨水・生活排水の処理 数万~数十万円
上下水道 引き込み工事が必要な場合がある 20万~100万円以上
測量・境界確定 敷地範囲を明確にする 10万〜50万円程度
地盤改良 地盤が弱い場合に必要 50万~100万円以上
浄化槽設置
下水道が使えない地域で必要な場合がある 数十万〜百万円以上
地目変更登記 現況に合わせて登記地目を変更する 5万~15万円程度

※費用はあくまで目安であり、実際の金額は土地の条件や地域、依頼先によって変わります。

これらがすべてのケースで必ずかかるわけではなく、土地の状態や立地によって必要な工事の内容が変わります。

100坪の農地を宅地にする費用は土地条件で変わる

100坪(約330㎡)の農地を宅地にする場合でも、費用は面積だけでは決まりません

以下のような土地の条件によって、必要な工事の内容と費用が大きく変わります。

  • ・道路からの距離:遠いほど上下水道の引き込み工事費が増える
  • ・傾斜・高低差:大きいほど造成工事の規模が拡大する
  • ・地盤の状態:農地の状態や過去の利用状況によっては、地盤改良が必要になる場合がある
  • ・上下水道の整備状況:近隣に管路がない場合、浄化槽の設置が別途必要になることがある

「100坪だからいくら」と一概に言えないため、まずは土地の現況を確認し、住宅会社や造成業者などに個別の見積もりを依頼しましょう。

転用後は固定資産税が変わる可能性がある

農地を宅地に転用すると、土地の評価や課税の扱いが変わり、固定資産税の負担が増える可能性があります。

ただし、実際の税額は土地の評価額や自治体の算定方法によって異なるため、転用後に税負担がどの程度変わるかは、事前に市町村の窓口で確認しておくことが大切です。

また、住宅を建てた場合は住宅用地の特例が適用されることもあるため、この点もあわせて確認しましょう。

〈参考〉総務省『固定資産税』

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農地転用で宅地にして家を建てる前の注意点

農地

農地転用ができる土地でも、住宅を建てるには別の条件を満たす必要があります。

ここでは、転用を進める前に確認したい注意点をまとめました。

宅地にできても家を建てられるとは限らない

農地転用の許可を取得できても、その土地に必ずしも家を建てられるわけではありません

住宅を建てるには、農地法の手続きとは別に建築基準法や都市計画法などのルールをクリアする必要があります。

「転用できた=家が建てられる」と思い込むと計画が途中で止まってしまうことがあるため、建築の可否も転用手続きと並行して確認しましょう。

土地選びの基本は、こちらの記事も参考にしてください。
▶️関連コラム:注文住宅の土地探し|コツや流れを解説!よくある疑問も解決

接道義務を満たしているか確認する

住宅を建てるには、建築基準法上の「接道義務」を満たす必要があります。

接道義務とは、建物を建てる土地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないというルールのことです。

農地は道路に面していないケースもあり、接道義務を満たしていない場合は、原則として住宅を建てることができません。

転用前に土地の接道状況を確認しておくことが重要です。

〈参考〉国土交通省『集団規定に係る基準検討委員会>第4回>資料3接道規制のあり方について』

上下水道・排水・地盤を事前に確認する

農地は、住宅地として使う前提で整備されていないことがあります

上下水道の引き込み、雨水や生活排水の処理、地盤改良の有無は、建築費用や暮らしやすさに関わる重要な項目です。

土地を決める前に、住宅用地として問題なく使えるか確認しましょう。

無許可転用や先行造成は避ける

農地転用の許可や届出をせずに、農地を住宅用地や駐車場などに変えると違反転用に当たる場合があります。

「少し整地するだけ」「先に造成を進めるだけ」と思っても、内容によっては違反転用と判断され、是正指導や原状回復命令の対象になることがあります。

工事を始める前に、必ず自治体や農業委員会へ確認しましょう。

〈参考〉農林水産省『農地の違反転用発生防止・早期発見・早期是正へ向けた取組み』

農地転用で宅地にするなら土地と建物の総予算で考えよう

農地転用で宅地にするなら土地と建物の総予算で考えよう

農地を宅地にして家を建てる場合は、土地代と建築費を合わせた資金計画が欠かせません。

ここでは、予算オーバーを防ぐ考え方と相談先選びを解説します。

土地代が安くても総額が高くなる場合がある

農地は宅地と比べて購入価格を抑えやすい場合があります。

しかし、転用・造成にかかる費用を加えると、総額が想定より高くなることもあります。

土地代だけで判断せず、家を建てて暮らせる状態にするまでの費用を見込んでおきましょう。

農地や広い土地を活かして平屋を検討する場合は、こちらの記事も合わせてご確認ください。

▶️関連コラム:平屋を建てる費用の目安|土地あり・1000万円以下・夫婦二人や一人暮らしの新築価格

家づくり前提なら住宅会社への早めの相談が安心

農地に家を建てる予定がある場合は、転用手続きが完了する前から住宅会社へ相談しておくと安心です。

建築の可否、間取り、造成費の概算、資金計画をまとめて確認しやすくなります。

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農地転用で宅地にするには、農地法に基づく許可や届出が必要です。

転用できるかどうかは、市街化区域や農地区分、計画内容によって変わります。

また、家を建てる場合は、造成費の試算・接道・上下水道・地盤の状態なども事前に確認し、土地と建物を合わせた総予算で考えることが大切です。

茨城・千葉・栃木で農地や広い土地を活かした家づくりを検討している方は、「A-1 home」へご相談ください。

監修者情報

エイ・ワン株式会社(A-1 home)

エイ・ワン株式会社(A-1 home)

エイ・ワン株式会社(A-1 home)は、茨城県行方(なめがた)市で1981年より40年以上「設計・施工・監理一貫体制」で家づくりをしている工務店です。
一級建築士4名/二級建築士1名/宅地建物取引士3名/ファイナンシャルプランナー1名
が在籍しており、各分野の専門知識を持ったプロがマイホームを共に形にしていきます。

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建築事例